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防衛大学校訪問記&亡き父との思い出話

本日11/24は4年前に亡くなった父の誕生日。
せめてもの供養になればと思い、旧ウェブサイトに投稿したこの記事↓を再アップさせていただきます。

なお、今回の記事は父と私の思い出話です。
記事の内容上、「国防」「有事」「軍事演習」などのことばが登場しますが、政治思想的な意図はございません。

*ここからは2018年3月上旬の話です*

東京⇒横浜を経由し、さらに横須賀へ移動した私。

この日の最終目的地はこちら↓↓
横須賀市走水(はしりみず)
または横須賀市小原台(おはらだい)

関西の方はなじみがないかもしれませんが・・・

この地名で「あ!」と思った方、
関東エリアの方、もしかしていらっしゃるかも。

この日の私はこの地にある、防衛大学校へ。
生前、幹部自衛官だった父の出身校です(以下、防大と記載)

東京ドーム20倍もの広大な敷地。
空と海の構図がすばらしい景色。実際に見て圧巻でした。

父は生前、防大時代の話をするときはとてもうれしそうでした。
とくに同期の方たちとの絆が半端なく強いことを自慢。

だから、いったいどのようなところなのか実際に見たいと思ったのです。

この日は一般公開されている「防大ツアー」に参加。
自衛官である職員の方たちに、国の施設である校内を直接ご案内いただきました。

通常は自由に入ることはできないところばかりですので、この日はまたとない経験をさせていただきました。

ということで、今日はこのツアーでの話と父の想い出話と絡めて投稿します。

 

さて、生前の父が毎年とても楽しみにしていたものの一つは・・・。

毎年の卒業式での「帽子投げ」のシーン。
その夜のNHKのニュースで必ず放送される、あの有名なシーン。

内閣総理大臣の祝辞のあと、最後に卒業生代表の「さらば○○期、解散!」という大号令。

その瞬間、卒業生500人ほどが一斉に帽子をものすごい勢いで真上に投げて、超全力で走り去っていくあのシーン。圧巻です!(「防大 帽子投げ」で検索するとこの動画が出てきます)

 

ここで行われています。
全校生徒2,000人が収容できるそうです。

ここに屈強な防大生たちで全席埋まると、すごい迫力だ。

ここで帽子投げの説明を聞きながら、
私は60年前の当時18歳の父の姿を想像していました。

兵庫県・播州赤穂出身の父。
地元の高校で常に学年一番だった父。

ですので、当初は防大ではなく、
兵庫県内で一番偏差値が高い神戸大学に行きたかったそうです。

だけど、家がとても貧しく、
国立であっても一般の大学進学は断念した父。

だけど、防大であれば・・・

大学と同じ勉強ができる上に、
人間として最低限暮らしていけるだけのお給料までもらうことができる。

お金のことで情けない思いをせずに、生きていける。

生涯安定した身分と生活の保証を受け取る代わりに
「身を捧げて国を守る」と防大へ行くと決めました。

これが自分の運命だと。

もうこれからはお金の心配をせずに、
ささやかでも安定した生活ができる。

お金がないことへの恐怖を、嫌というほどわかっていたのでしょう。

今回の防大訪問で、思いもかげず私は当時18歳だった父の当時の背景を知ることができました。

職員の方の話では、
父の世代の防大生はこのように強い志(こころざし)を持って入学した学生さんが多かったそうです。

 

(防大正面建物の内部を撮影。ガラスに透けているのは校章(鷲))

自衛官にしては小柄な父でした。
幼い頃は体が弱かったようです。

姉たちに囲まれた末っ子の弟ゆえ、典型的な甘えっ子タイプ。

小さなこどものように、
知らないことは怖い、嫌だ、やりたくないと人見知りしてすぐに引っ込んでしまうタイプ。

ですが、防大での日々は
起きる時間、寝る時間、食事をする時間、24時間のすべてが管理されている、規律だらけの軍隊生活。

学問だけでなく、有事にそなえた軍事演習の連続。

なかでも、防大生必須の「入学してすぐの10キロ近い遠泳」や、「夜通しの軍事演習」。

防大に入るまでおそらく海で泳いだ経験はなかったと思いますので、人一倍怖がりな父にとっては相当な恐怖だったことでしょう。

国に食べさせてもらえる立場だから、
国を守るための訓練は身を犠牲にしても自分の使命。

そうは思っていても、相当キツかったはずです。
いくら国を守るといっても、心身の限界を越えるほどの過酷さだったはず。

 


これは床に刻まれた防大の校訓

「廉恥 HONER(誇り)」
「真勇 COURAGE(勇気)」
「礼節 PROPRIETY(品格)」

これらはノブレス・オブリージュ(*)の精神から来ているとのこと。

*ノブレス・オブリージュ(フランス語)
「社会的に地位のある者は責任を負う。社会の模範となるように振る舞うべきである」という騎士道の精神

これは初代校長の槇智雄先生の時代からの精神です。

今でこそ地震や台風などの災害派遣などの活躍で自衛隊への信頼は上がっていますが・・・

防大開校当初の昭和30年代前半は、まだまだ自衛隊に対しての評価は低かった時代。

このノブレス・オブリージュの精神は、
自身の使命に誇りを持って国のために生きるように伝えたのだと私は思いました。

父は初代校長先生の頃に入学しているので、ノブレス・オブリージュのことは知っていたはず。

ですが、直接聞いたことはなかったのでこのお話はとても新鮮でした。

 

さあ、ここで話は変わり・・・
現代の防大のグローバルな話題を。

これは現在在校している生徒さんたちの出身国の国旗です。

すごいですね。
防大もグローバル化!
海外からの留学生がこんなに多いことに驚きました。

ちなみに、留学生のみなさんは5年間通います。
最初は「0(ゼロ)学年」からのスタート。

この一年で日本語を徹底的に学び、
翌年晴れて一年生として日本人の生徒さんたちと合流。

海外の生徒さんたちは、自国の軍隊ではスーパーエリートだと思います。

国費留学できるレベルの生徒さんが多いのではないかと。

どの方も優秀でしょうが、日本語は難しい。

授業についていくだけのレベル、
なかでも国防に関する専門用語レベルの日本語をマスターするのは大変だと思います。

 

もう一つグローバルついでに、
最後に英語教室らしいトピックを。

英語ができると未来が変わるのは、
ここ防大でも同じ。

60年前の父の時代とは大きく異なり、
今の防大生は実践的な英語力も要求されます。

「英会話だけでなくて、TOEIC®スコアも必要」とのこと。

スコア基準は700点が目安だそうです。
これはなかなかのハイレベル!

それにプラスして、英会話も必要とは。

国を守る(国防)にもグローバル化が必要だということですね

ちなみにこの日、私と一緒にツアー見学したのは高校3年生の女の子でした。
防大を受験するようです。

婦人幹部自衛官はとても優秀な方が多いとのことですが、この女の子もとても賢そうでした。

もちろん、英語もできるとのこと。
すばらしいですね!